ウェイマネジメントの策定と共有 【阿字ヶ浦クラブ様】

outline ― コンサルティングの概要 ―

阿字ヶ浦一帯は東日本大震災、原発事故により観光資源としての「海」の求心力が低下。
「海+α」の付加価値の創出が急務となっていました。
そこで大学の陸上部等の合宿所として震災前から阿字ヶ浦クラブ様は、その特色を生かしつつ新しい価値を市場に提案し、阿字ヶ浦地域の活性化の牽引役も果たしたいと決意。
恒久的な企業理念を策定し、従業員も参加して新しい価値観を提供するにふさわしいホテルマンとしての行動指針を作成しました。
提供する新しい価値観のキーワードは「学び」となりましたが、提供する側の従業員自身も「学び」を求めはじめ、若い従業員を中心に「自分がこの分野のエキスパートになる」という意識が芽生え、快活な表情を見せるようになりました。

contents  ― コンサルティングの内容 ―

  • 問題点の把握
  • 課題設定と実行計画書の作成
  • ウェイマネジメントの策定と共有

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result ― コンサルティングの成果 ―

  • ウェイマネジメントの策定
  • とくに若い従業員の意識改革

interview ― インタビュー ―

旅館 阿字ヶ浦クラブ 支配人黒沢広忠 様

「震災後の人々のニーズのキーワードは
『学び』だった。」

———ビジョンリンクのコンサルティングは2度目だそうですね。

そうです。しかし、前回の続きではなく、目的はまったく違います。
東日本大震災ではここも大きく被害を受けました。復旧後は福島の原発事故の影響で今も海水浴客の客足は伸びません。海という観光資源で栄えてきた阿字ヶ浦ですが、そればかりでは客を呼べない時代に入りました。当館もリニューアルし、従業員も入れ替わったことを機に、何か新しいことを仕掛けなければならないと考えていた矢先に県の事業を知って応募しました。そして、再び木下さんのコンサルティングを受けたのです。
まずは木下さんと話し合い、当館が果たすべき役割を明確にしました。キーワードは「学び」です。震災後は「これまで置き去りにしていたものをもう一度やりたい」という声を多くのお客様から伺いました。日々の忙しさにかまけてなおざりにしてきた趣味や自己実現。「後で」が「今やろう」に変わってきました。それが自己完結するだけでなく、人とのつながりも生んでいきます。学びを通してつながる人と人。その文化を伝えていきたいと考えました。
学びに年齢は関係ありません。これまで大学生など若い客層ばかりでしたが、これからは「学び」のキーワードのもと、幅広い世代に訴求していきたいと考えています。
また、「海+α」の阿字ヶ浦オンリーの価値をアピールして、阿字ヶ浦全体の活性化の牽引役を果たしていきたいとも思っています。

「従業員どうしの『気づき』が連鎖反応するディスカッションでした。」

———ウェイマネジメントの策定はどのように行ったのですか?

定例会議でブレーンストーミングを行いました。私自身も含め、従業員それぞれがどんな考え方を持っているのかが分かり、良かったですね。気づきも多かった。1人が気づくと、それが連鎖反応でつながっていくということが見られました。
 また、外部から第3者の目が入ることで、自分たちでは見逃してしまうことも1つひとつチェックしてもらえました。そのなかで、従業員一人ひとりが自分の「やるべきこと」「やりたいこと」を見極めることができました。
 そうして、「阿字ヶ浦クラブウェイ」ともいうべき、「企業理念」「ミッション」「ビジョン」「バリュー」と「行動基準」を策定しました。

「従業員も学びを求めていました。」

———そもそもなぜ「ウェイ」に注目したのでしょうか。

「ウェイ」は近年、ヒト、モノ、カネ、情報に次ぐ第5の経営資源として重視され始めています。
ウェイには守りと攻めの2つの効果があります。ウェイは「お客様に対する約束」ですから、コンプライアンス同様に、これを徹底することで現場のモラルハザードを防ぐことができます。
これが「守り」の側面です。一方、「攻め」の側面は日本企業本来の強みである「チーム力」の発揮です。
ウェイが浸透すれば現場への権限移譲もしやすくなり、変化への対応力がアップします。
もちろん、権限を与えられた現場の従業員たちの成長意欲や当事者意識も高まります。

———今回のコンサルティングでは若い従業員の皆さんが奮起されたようですね。

これまでは、若い従業員たちは幹部の前では意見しづらかった面があったようです。しかし、今回のコンサルティングは彼らが変わる機運となりました。
 今回は即効性のあるコンサルティングではありません。組織の土壌を作ることが目的です。しかし、いい土壌に生まれ変わったのでしょう。すでに意識改革の萌芽が見られます。「自分がこの分野のエキスパートになるのだ」という意欲が出てきていますね。支配人としては、積極的にその舞台を作ってあげたいと思っています。
 私が若い頃、バブル時代は自分から求めなくても成長のチャンスは自然と目の前に流れてきました。しかし、今は時代が違います。若い人たちは自分がどこへどう伸びていったらいいのか分からない時代です。当館の若い従業員こそ「学び」を求めていたのです。
 ウェイは策定してからが本当スタート。継続していくことが課題です。ブレないように、それでいて時代の変化に対応できるように。

「耳目を集める風景を日常の風景に!」

———今回の理念の策定で最も大事にしたことは何ですか。

震災の経験から「モノよりもコト」だと思っていました。モノは一瞬にして失われてしまう。また、木下さんからも「目先の利益ではなく、一本の芯がある恒久的な理念が必要だ」と言われました。
 「学ぶ文化」と、それを楽しむ「共感」を阿字ヶ浦の「お土産」として持ち帰ってもらいたいと思います。
 さて、阿字ヶ浦固有の付加価値についてですが、ここの「海+α」は音楽とスポーツだと思っています。国営ひたち海浜公園では毎年、大きな音楽イベントが開かれていますし、当館には早稲田実業等陸上部の合宿が行われています。これまでの人とのつながりを生かし、この地域の魅力を発信してくれる人、つまりインフルエンサーを探したいと思っています。
 そして、例えばマラソンの高橋尚子さんのような誰もが知っているような有名選手が普通に街中を走っているような、そんな阿字ヶ浦固有の日常の風景を作りたい。その日常に触れるために人が集まるような仕掛けをしていきたいですね。

———これからが楽しみですね。本日はありがとうございました。